おからって?

おからは豆腐を作るとき、豆乳を搾った後に残るものです。 うの花やきらずとも呼ばれます。
昔から優良健康食品のおからは惣菜として使われていて、最近はコレステロールの低下、動脈硬化や大腸がん予防に期待ができ、ダイエットにも効果的なことがわかっています。
ただ、近年より良い豆腐を効率的に生み出すために製法が変わり、それに伴いおからの味が落ちて、ますます食品として使いづらくなっている事情があります。
その結果、捨てることが多く、どうしても廃棄物というイメージがつきまといます。 
いまや食卓に欠かせない豆腐に光があたるばかりで、栄養面では勝るとも劣らないおからがすっかりその影に甘んじている現状を何とかしようという気運も出てきています。

 

豆腐を作るとおからができる

豆腐を作ると必ずおからができます。 それも豆腐以上にできてしまう。
では、豆腐製造のどの過程でおからができるのでしょう。。
1.原料の大豆を水につけておきます。 2倍に膨らみます。
2.大豆を水と一緒にすりつぶします。 
3.すりつぶした液状の大豆を煮釜へ入れます。
4.煮えた大豆を搾って豆乳とおからに分けます。 ここでおからができます。
5.豆乳ににがりを加えてかためると豆腐ができます。

おからの水分量を75%とすると、大豆に対してだいたい1.3倍のおからができることになります。
大豆60kg(麻袋1俵)で約78kgのおからが出るわけです。

おからが超優良な食品なのはなぜ?

「畑の肉」と呼ばれる大豆は肉に匹敵する量のタンパク質を含んでいる。
大豆から出るおからのタンパク質は必須アミノ酸がバランス良く含まれています。 さらにビタミンB1、脂質、イソフラボン、レシチンなどが含まれています。 また、おからに多く入っている食物繊維は便秘を解消する効果があることはよく知られています。 腸内の環境が改善されれば、体の代謝がよくなり、いままであった多くの不快な症状が改善されることになります。 おからにはカルシウムも多く含まれています。 カルシウムが不足して骨粗鬆症になりやすい高齢の女性には特に必要な成分なので、おからは最適な食品といえます。

 おから100gに含まれる主な栄養素
 タンパク質  6.1g  ビタミンB1  0.11mg  エネルギー  111kcal
 脂 質  3.6g  マグネシウム  40mg    
 カルシウム  81mg  食物繊維  11.5g    

おからがダイエット・メタボに効果が...

おからは何といっても食物繊維が豊富。
ダイエットをしようとすると食べる量を極端に減らしたり、偏った食品を摂る極端な方法に頼りがちです。 体調を崩すことが多いので、栄養のバランスのとれた食事を心がけ、健康的なダイエットが大切です。 そこでおからですが、おからの繊維はおなかの中で膨らむのでかなり腹持ちがよくなります。 また余分な脂肪の吸収も妨げるのでとても効果的です。 ぽっこりおなかを改善してくれるはずです。 
現在、社会問題になっているメタボリック症候群ですが、動物性脂質の摂りすぎで、生活習慣病やがんの発症率が増加しています。 40歳以上の男性では4人に1人がメタボと診断されほどです。 予防には適度な運動と高脂肪の食事を避けるということなので、中性脂肪やコレステロールを下げる効果があるといわれるおからの植物性タンパク質はたいへん有効です。

おからの持つイソフラボンって?

女性の美しさや若々しさには女性ホルモンが大切です。
イソフラボンは、女性らしい体をつくるエストロゲン(女性ホルモン)と同様の働きを持つ天然成分です。
特に30代後半からの小じわや肌荒れなどに悩む女性に大切なものです。
冷え性、発汗、のぼせ、ほてり、心悸亢進、憂うつ感、焦燥感、耳鳴り、不眠、記憶力の低下、しびれ、頻尿、下痢、肩こり、腰痛、全身倦怠感などの更年期障害は女性ホルモンの不足が引き金となります。  また、女性ホルモン不足の状態になると、骨を壊す作用のある破骨細胞が異常に働いて必要以上に骨を壊してしまいます。 ですから、骨粗鬆症の予防にも有効です。

おからの保存方法って?

おからが傷みやすいことが有効利用を難しくしている
生のおからには水分が多く含まれています。 そのため、傷みやすく長く保存できないので、買ってきたおからはすぐに冷蔵庫に入れて保存し、賞味期限内に食べ切ることが必要です。
長く保存をしたい場合は、新鮮なおからを冷凍する方法がおすすめです。 その時は小分けにしてビニール袋に入れて冷凍すると使うときに便利です。 新鮮なうちに冷凍すれば、数カ月間は保存が可能です。
フライパンでからいりしてもOKです。 弱火にかけたフライパンでじっくりとおからをいり、水分を飛ばす。 パラパラになったら冷まして冷蔵庫か冷凍庫で保存。

おからが食べられないのはなぜ?

これだけ栄養価の高いおからがなぜ有効に利用されない理由は..
(1)酸化や腐敗が早すぎて、運搬が非常に難しい。
(2)繊維質でパサつきが有り、食感が悪い。
(3)大豆臭があり、そのままでは食品に利用しにくい。
そんなことで、今までせいぜい肥料・飼料やごく僅か食品としてしか利用されなかったのです。

おからを食べればゴミ問題も解決?

これまでおからが有効に利用されなかったのはどうして?
おからは腐敗が早く、排出運搬が難しい。 繊維質で、ぱさぱさして、食感が悪い。 大豆臭があって食品に利用しにくい。 これらの理由で一部食用、肥料、飼料に使われる分を除いて、ほとんどが廃棄されているわけです。 その量は現在、年間65万トンにもなり、水分が多く輸送が困難なために有料の産業廃棄物として捨てられているわけです。 これらが廃棄・焼却処理されるエネルギーや不法投棄における公害を考えるといかにこれが問題かわかります。 また、食品自給率を上げる運動や食品リサイクル法などの施行、地球温暖化などの地球環境問題からも、おからの有効活用は重要なテーマとなります。
食品自給率について
おから産業廃棄物の裁判

おからのちょっと話

日本ではいつからおからがあったんだろうか?
日本の食生活で豆腐が欠かせない食品であることは間違いない。 では、いつから豆腐が日本で食べられていたんだろうかと調べてみると、江戸の物うりの中で朝早く市中に売りに出るのは豆腐で、「豆腐屋のおきたのも丁度あけのむつ」という句が出てくるので、江戸時代にはよく食べられていたということがわかります。 

豆腐の副産物のおからは当然できていたことになるわけで、その価値はというとやはり低かったようです。落語「千早振る」でおちぶれて乞食となった遊女千早が相撲取りから豆腐屋になった竜田川におからを乞うて拒絶されて自殺する場面が出てくる。  また落語「鹿政談」では、豆腐屋が軒先に出しておいたおからを腹を空かした鹿が食べてしまうところから話がはじまる。 どちらの話からも、おからがほとんど廃棄物同然だったことがわかます。 

落語「千早振る」が気になったらこちら
落語「鹿政談」が気になったらこちら